2015年11月8日日曜日

日本の音大に行くべきではない理由   (その6)

6.日本の音大にとって一番大事なのは、学生が学費を払うこと

日本の音大にとって一番大事なこと、それは学生(たいていはその親)が多額の学費を払ってくれることだ。学費を払って大学にお金をもたらしてくれるお客を「ミルクカウ」という。一部の大学には学費の割引や免除の制度があるが、これはあくまで「本学にはこんなに素晴らしい学生がいる」ということを宣伝するための制度であって、苦労して頑張っている学生を支援するための制度ではない。特待生などのほとんどは入学前から特待生として入学できることが決まっていて「君は芸大にでも入れるけれど、うちの大学に来れば学費免除で勉強できるよ」と先生に誘われてくる場合が多い。

最近では各音大ともその他に「特別◯◯コース」などという名称の、演奏家として将来有望な学生だけを集めたコースがあるが、逆に言えばこのコースの学生に優れた環境を与えるために、他の学生が高い授業料を払っていると言っても過言ではない。そして、その割合はせいぜい20人に一人かそれ以下である。

学費が払えなくなった時、国公立の大学では事情により一定の猶予や免除の制度がある場合もあるが、私立の場合は「辞めていただくしかない」大学がほとんどだ。

Yさんのお父さんが急死したのは大学2年の秋だった。前期後期学費を分納していたYさんは後期の学費が支払えなくなってしまったため、大学に相談したが「学費が払えない以上やめてもらうしかない」だった。主科担任を始めいろいろな人に相談したが、誰も助けてくれなかっただけでなく、急に冷たくされたりすでに学生ではなくなっている様な扱いを受けた。日本の音大は、お金が全てなのである。

Yさんは翌年ある公務員の吹奏楽団に入るが、そこで待ち受けていたのも日本の音大と同様のパワーハラスメントだった。日本の音大と音楽関係の職場で受けた心の傷で、Yさんはまもなく自宅療養を続ける生活に入った。

2 件のコメント:

  1. Yさんのことは、とても遺憾に思います。いまは、よい生活に戻られたのでしょうか。

    扶養者が死亡した場合、国公立でも「除籍」になることがあります。私立でも、使える保険などはあります。

    さて、この問題、何か勘違いをされていませんでしょうか。

    学生の扶養者が亡くなった場合、学費が払えなくても勉強を続けられるように備えるのは、大学ですか?ご家庭ですか?

    それぞれの家庭の経済状況、扶養者の年齢や持病もわからない、大学側に、扶養者の死亡リスクへの備えを義務づけるのでしょうか。

    備えあれば憂いなし、備えをするのは、学生さんのご家庭の役割です。

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  2. ヨーロッパでは音大にかぎらず、私立の学校ですら一度入学してから経済的理由で学業が続けられなくなった場合、事務が様々な奨学金を紹介してくれますし、場合によっては手続きについていろいろ教えてくれます。奨学金は学校自体が出すもの、教会、国や地方自治体など様々です。

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