本来、被告の移送申立書、答弁書を先に掲載するべきですが、現在スキャニングができませんので、そちらはでき次第アップすることにします(全文を写すのは非常に大変ですので)。
平成24年(ワ)第2981号
損害賠償請求事件
原告 杉山直樹
被告 京都市ほか6名
意見書
(2012)平成24年5月10日
東京地方裁判所民事第1部合2係 御中
原 告 杉 山 直 樹
標記事件について,被告の平成20年2月1日付移送申立に対する原告の意見は,以下のとおりです。
第1 趣旨
本件訴訟の京都地方裁判所への移送は認められない。
第2 理由
1 裁判の管轄について
(1)被告の主張
(ア)被告は本件不法行為が行われた場所が退職の強要その他退職の手続きに関する行為が行われた京都市内であり、その裁判管轄は京都地方裁判所であると 主張する。
(イ)また被告広上および被告荒井は被告京都市の人事に関する権限を何ら有しないことから、本件不法行為は専ら被告平竹および被告並川によって行われた と述べている。
(ウ)さらに国家賠償法第1条において「公権力の行使に当たる公務員の職務行為に基づく損害については、国又は公共団体が賠償の責に任じ、職務の執行に 当たった公務員は、行政機関としての地位においても、個人としても、被害者に対しその責任を負担するものではない」とされていることから原告の請 求は被告京都市に対して成されるべきであるとしている。
(2)原告の主張
しかしながら、上述の3点こそがまさに本件裁判の争点であり、被告の主張はそもそも自らの主張がすべて正当であるという尊大な錯誤に基づいた物で ある。
(ア)原告の立場は「そもそも京都市の人事に関する権限を何ら有しないはずの被告広上、被告荒井が被告平竹及び被告並川に対して執拗な干渉を行って原告 を解雇させた」行為こそが本件不法行為の第一原因である、とするものである。従って本件不法行為は退職の強要その他退職の手続きに関する行為のみではなく、その行為が行われたのが主に京都市内であったのか、原告が聞き及んでいる金沢市内での会見が被告平竹および被告並川に最終的な決断をさせたのか、あるいは電話や電子メールによって行われたのかは現時点では決定づけられない。従って不法行為が行われたのが京都市内であるという断定は被告の強弁である。
(イ)上記2―(ア)の通り原告は被告広上及び被告荒井は民法第719条第1項 における共同不法行為者であると同時に第2項の不法行為を教唆した者にあ たると考える。従って被告広上及び被告荒井の住所地である東京地方裁判所がその管轄にあたると考えられる。
(ウ)さらに被告平竹および被告並川の行為がすべて「公権力の行使に当たる公務 員の職務行為」にあたるかどうかは甚だ疑問である。なるほど退職の強要その他退職の手続きに関わる部分は職務中の行為であった様に解釈することもできる。しかし、業務に必要なファイルをデスクから持ち去ったり、さまざまなパワーハラスメント行為は「職務行為」とは言い難く、執拗な退職勧奨と対を成して被告らの業務外の恣意的行為であったと考えられる。従って国 家賠償法第1条の適用を受けるとは思われず民法第709条の不法行為にあ たると考えられる。京都市においては刑事罰の対象となる様な犯罪さえ軽微 な懲戒の対象としかならないことが常態化し、被告の京都市長、門川大作が最高裁判所で敗訴して支払い命令を受けた損害賠償金を支払わないなど、国家賠償法第1条を逆手に取った公務員の違法行為、不法行為が野放しにされているのである。従って本件不法行為の責任は被告平竹および被告並川個人 にあるのであって原告の請求は被告京都市にのみ為されるべきであるから、その管轄は京都地方裁判所であるとの主張は失当である。
(エ)上記により、本件裁判は民事訴訟法第16条による移送の適用を受けない。
2 裁判の衡平について
(1)被告の主張
(ア)前述の通り被告は被告広上および被告荒井は被告京都市の人事に関する権限 を何ら有しないことから、本件不法行為は専ら被告平竹及び被告並川によって行われ、当該行為が存在したとしてこれが不法行為に該当するか否かが直 接的な争点とされるべきであると述べている。
(イ)従って被告広上及び被告荒井の証人尋問をする必要は認められず、尋問の可能性のある被告平竹および被告並川の住所地は京都市内にあることからその出頭の難易等からすれば京都地方裁判所をその管轄とするのが衡平であると主張する。
(ウ)また原告本人を尋問することも考えられるが、尋問する者の数、普通裁判籍が被告の住所地とすること等を考慮すると、京都地方裁判所をその裁判管轄とするのが当事者間の衡平にかなうものと解される、としている。
(2)原告の主張
(ア)本件不法行為が専ら被告平竹及び被告並川によって行われたという主張については争う。従ってこの点が本件移送の理由となるとは考えられない。
(イ)原告は被告広上および被告荒井に対する証人尋問は、本件不法行為が主に誰によって行われたかという事実が裁判の経過と共にいかなる判定をされようとも必要であると考える。また被告側は被告平竹および被告並川については尋問の可能性があるとしているが、これは必ずしも本人が出廷する蓋然性が 高いことを示していない。
(ウ)民事訴訟法第5条の特別裁判籍によれば本件裁判は東京地方裁判所、京都地方裁判所の他、さいたま地方裁判所で行うこともできたのであるが、原告は様々な証人の出廷の可能性などを考え、敢えて東京地方裁判所に提訴したのである。
被告は「原告本人を尋問することも考えられるが」と述べているが、原告は本人訴訟を行っているので口頭弁論や弁論準備、その他和解手続きなどがあればその都度京都市まで出向かなくなることは明らかである。これに対して被告らは代理人弁護士を依頼しており、また被告ら全員がすべての口頭弁論に出廷することは考えられないから、ただでさえ不当に退職を強要され、充分な資力を持たない原告と、極めて恵まれた定収があり、さらには「みやこ互助会」なる組織から裁判費用の補助を受けることまでできる被告の状況を 比べた場合、原告が極めて不利な立場に立たされるのは明らかである。よって、どちらの裁判所が管轄となるのが衡平であるかは自明である。
(エ)被告は答弁書の10頁で、原告が指揮者である訴外下野氏、同湯浅氏、同現田氏に「失礼な態度を取った」り「批判した」ため各氏が「憤慨した」と、虚偽の事実を述べている他、原告の「非行」を捏造している。その為原告は事実を証明するため多数の関係者の陳述を必要とすることになる事が考えられるが、関係者の多くは東京、若しくは東京近郊に住所地があるため、京都地方裁判所の管轄となれば原告が負担しなくてはならない交通費などは膨大な物となると考えられる。また、関係者の日程を調整するのはほぼ不可能に近い物と考えられる。
(オ)原告は平成24年1月5日に被告門川並びに被告平竹に書状を送り(甲5号証)、原告を解嘱したのは被告広上および被告荒井の執拗な要求による物であったことを認め、原告に対するパワーハラスメント行為や失礼な態度に対して謝罪するのであれば京都市、及び京都市交響楽団関係者に対しては責任を問わず、提訴もしないことを申し出たが、両名は何の回答もしなかったので原告は京都 市交響楽団関係者も被告に加えざるを得なかった。反して言えば、もし被告 京都市との間に何らかの合意が成立すれば、本件裁判は被告広上および被告 荒井とだけ争われることになる可能性も残されている。そうなった場合本件 裁判が京都地方裁判所で行われることには何の合理性もない。
(カ)上記の理由から本件裁判を京都地方裁判所に移送するという被告の申立は、 民事訴訟法第17条の「訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図る」という目的と悉く対立し、憲法第32条によって認められた原告の裁判 を受ける権利を侵害し、原告に膨大な出費を強いて裁判の維持を困難にし、 裁判を故意に長引かせるための手段であると判断できる。
0 件のコメント:
コメントを投稿